EDには様々な種類があります。どのEDを患っているかで治療方法や治療期間が異なるため、「もしかしてEDかも」とお悩みの方は、各EDの種類を把握して自分の症状と照らし合わせてみましょう。ここでは、血管・神経・内分泌・外傷などの物理的な身体機能の障害によって引き起こされる「器質性ED」についてご紹介します。
○器質性EDの特徴
EDの原因として心の問題が取り上げられることが多いですが、物理的な身体の障害が原因で引き起こされるEDもあります。器質性 ED とは、体に何らかの原因があって、物理的に勃起が阻害される ED のことを指します。
具体的には、勃起に関わる各神経、組織、血管系、または陰茎自体の異常などの解剖学的な問題が原因で発症するEDを指します。また、男性ホルモンの分泌阻害によって発生する内分泌性障害や陰茎折症・脊髄損傷など、外傷の後遺症として発生する性機能障害も器質性EDに含まれます。
○器質性EDの種類
器質性EDは、身体の機能や器官によって、さらに細かく分類されています。器質性EDとして分類されているのは以下の4つです。
・血管性
勃起は、陰茎の海綿体に血液が充満することで起こる反応です。そのため、勃起と血管は切っても切れない関係で、血管の障害はEDの原因となります。血管性EDは、海綿体の動脈硬化や勃起時の整脈閉鎖機構の機能障害、骨盤外傷、手術後の血流障害など、海綿体への血液の流入が制限されることで発症します。
・神経性
勃起は、脳から性的な刺激が陰茎に伝達することによって起こります。しかし、何らかの原因で神経伝達に問題が発生すると、EDとなります。一般的には「脳血管障害やパーキンソン病による中枢神経の障害」、「脊髄損傷による脊髄神経の障害」、「膀胱がん摘出手術、前立腺がん摘出手術などによる抹消神経の障害」の3つが、神経性EDの主な原因とされています。
・内分泌性
内分泌はおおまかにいうと、男性ホルモンのテストステロンを指します。何らかの理由で、テストステロンの分泌が阻害されると、勃起や射精などを促進するドーパミンが増えず、勃起障害へと繋がります。また、男性ホルモンが減少すると平滑筋が十分に緩まず、陰茎に流入する血液の量が制限され、勃起障害を引き起こします。
・外傷・手術
「外傷によって陰茎が傷つく、先天的な陰茎の奇形」 「頭部外傷・骨盤骨折及び、それに伴う手術の影響」、こういった要因によって引き起こされる勃起不全が外傷・手術によるEDです。また、「勃たない」という一般的なEDのほかに、勃起時に陰茎が不自然に折れ曲がるペロニー病(陰茎形成性硬化症)もEDの一種として扱われます。
・その他
前立腺肥大症、前立腺炎や精巣静脈瘤などの泌尿器科系の疾患はEDの原因となりえます。
また、排尿状態が悪いことなどが心理的な影響を与えてEDが起こったり、治療薬の一部にEDを引き起こす薬剤が含まれていることもあります。
また、慢性腎不全の方や血液透析を受けている方では、ホルモンが変化したり、全身の動脈硬化や神経障害が次第に進行するためにEDが起こりやすくなります。そのほか、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、多発性硬化症などの疾患、生まれつきの病気により陰茎の形が性交に適さない場合なども、EDの原因となることがあります。